書籍 間違いだらけのビジネス戦略/山田 修(著)

書籍 間違いだらけのビジネス戦略/山田 修(著)

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間違いだらけのビジネス戦略
山田 修(著)
出版社:クロスメディア・パブリッシング(インプレス)  (2015/11/13)
Amazon.co.jp:間違いだらけのビジネス戦略

20151117

ビジネスシーンを騒がせた「失敗」に学ぶ「戦略の本質」

元祖「企業再生経営者」の超人気連載をまとめ読み!

本書は、6社の社長を歴任し「企業再生請負人」と評された著者が、大手ニュースサイト「ビジネスジャーナル」での連載の中から閲覧数上位の記事を抜粋、まとめた一冊です。

各記事は、「出来るだけタイムリーに」「出来るだけ正確に」「出来るだけオリジナルに」の三原則に基づいて、主に今年前半にビジネスシーンを騒がせた出来事を取り上げて、起きたその週に、生の情報を著者自身で集め、判断した見解が書き込まれています。

著者の経営者としての経験に基づく戦略的視点の鋭い分析や提言は、経営や戦略立案を担っているリーダーだけでなく、それらを研究している方々にとって、大変勉強になります。

また、取り上げられた出来事が、その後どのように展開してきたか、著者の分析や提言が当たったかという表面的な事象だけではなく、その事象が展開されてきた根本的な要因を理解する上でも大いに役立ちます。

本書は、6社の社長を歴任し「企業再生請負人」と評された著者が、大手ニュースサイト「ビジネスジャーナル」での連載の中から閲覧数上位の記事を抜粋、まとめた一冊です。

各記事は、「出来るだけタイムリーに」「出来るだけ正確に」「出来るだけオリジナルに」の三原則に基づいて、主に今年前半にビジネスシーンを騒がせた出来事を取り上げて、起きたその週に、生の情報を著者自身で集め、判断した見解が書き込まれています。

著者の経営者としての経験に基づく戦略的視点の鋭い分析や提言は、経営や戦略立案を担っているリーダーだけでなく、それらを研究している方々にとって、大変勉強になります。

また、取り上げられた出来事が、その後どのように展開してきたか、著者の分析や提言が当たったかという表面的な事象だけではなく、その事象が展開されてきた根本的な要因を理解する上でも大いに役立ちます。

本書は、7つの章で構成されており、それぞれの章の終わりにはコラムとして評論が加えられています。

1章:戦い終わり日が暮れて

2章:戦略を誤ると名門企業も崖っぷち

3章:今年のワースト経営者は?

4章:プロ経営者がブーム?企業文化を根こそぎにする猛者たち

5章:卓越した戦略経営者に学ぶ

6章:吉か凶か、繰り出した戦略大技はどう着地する?

7章:変わるビジネス環境、生き残り勝ち上がれ

取り上げた事件で、私の見込みや提言がことごとく当たった、というわけではありません。
それはビジネス評論が自然科学ではなく、社会科学の範疇にあるからです。
また「意見」レベルのコメントに対しては、百家争鳴が予想されものもあるでしょう。
この本で多くのビジネス事象を、私という「固定視座」から一緒に覗いて見ると考えてください。
私の「固定視座」とは「戦略的視点」ということです。

各章では、ビジネスシーンの出来事に対して著者が見解を語っていますが、著者の考えと自分の考えを比較しながら読み込んでいくと、失敗や成功の要因をより深掘りでき、戦略的視点を磨くことができます。

1章:戦い終わり日が暮れて

大塚家具の父娘の戦い

  • ・大塚家具の父娘の戦いの原因は何だったのか。
  • ・当初優勢だった父・勝久会長が、なぜ3月の株主総会で敗北したのか。
  • ・しかし2015年1~6月期の決算は、前年同期と変わっていない。

「マック絶不調、モス好調」は正しくない

  • ・マクドナルドは絶不調だが、モスバガーは好調とは本当なのか。
  • ・危機マクドナルドの社長報酬は1億円。成功する女性社長の条件は何か。
  • ・マクドナルドは新経営陣では復活は厳しい。ではどうすればいいのか。

超優等生の花王の怠慢

  • ・国内では超優等生の花王は、世界ではP&Gに大きく差がついたのはなぜか。
  • ・そのP&Gが本気で日本への攻勢を始動してきているが、花王やライオンはどのように立ち向かうべきなのか。
  • ・P&Gのポートフォリオの柔軟な組み換え、世界中で展開している競争戦略とは
  • ・花王の海外展開は、どうすべきなのか。

ファンドが次々と持ち株を売却したタカラトミー

  • ・著者もかつて勤務されたタカラトミー、6月の株主総会で「プロ経営者」として招請された新社長の船出は厳しい状況である。
2章:戦略を誤ると名門企業も崖っぷち

今年3月に米国本社の完全子会社となったスターバックス日本法人、その競合として立ち上がってくるのはコメダ珈琲店と著者は見ています。

2013年6月の米サンフランシスコでの目隠し調査で、6種類中最下位であったスターバックス、現在の競合認識はどこなのか、そして今後どこに向かっていくのか。

「成長限界」と2014年末に著者が指摘していた中で、今年5月に46店舗を閉鎖し、「スラップ&ビルド」に戦略転換したヤマダ電機、家電量販業界では売上高トップではありますが、経常利益ではヨドバシカメラの後塵を拝しています。

ヨドバシカメラは、「ショールーミング」でヨドバシ.comに誘導する戦略で、ネット通販でアマゾンに肉薄する勢いで躍進しており、家電量販業界各社の経営戦略、新しい業態構築の可能性はあるのか。

3月期の通期予想で営業利益を400億円から200億円に下方修正した任天堂は、「イノベーションのジレンマ」によりスマートフォン・ゲーム市場に本格参入はできない。

1月13日に株価が急落したイオン、大型小売店舗をチェーン展開するGMSの業態がいよいよ曲がり角に来ているのか。

3章以降の読みどころ

以降の章でも、主な出来事に対して、著者の鋭い切り口で分析と提言が繰り広げられています。

3章の「今年のワースト経営者は?」では、

  • ・スカイマーク、ソニー、シャープなどの「男を下げた経営者」に対し、日本電産社長や富士フイルム会長などの「うっとりするような」名経営者もいるとしています。
  • ・民事再生手続き入りして全日空の支援を受けることになったスカイマーク社、同社を「懐すっからかん」にした社長の責任は大きいが、社長自身の「懐」はどうだったのか。
  • ・そして、4月に2015年度連結業績見通しを上方修正したソニー、これまでの低迷は20年前から企業体質が変質したのが主な要因とし、歴代社長の罪を指摘しながら、今後の方向性を提言しています。
  • ・一方、業績見通しを下方修正したシャープ、事業構造の本質的な問題を明らかにしながら、現社長のリーダーシップに対する課題を指摘しています。

4章の「プロ経営者がブーム?企業文化を根こそぎにする猛者たち」では、

  • ・サントリー、ベネッセ、LIXIL、武田薬品の4社が取り上げられています。
  • ・日系の大企業に、外部からの経営者が招聘され始めたのに時代の大きな流れを感じるとして、国籍が異なる6つの会社で経営者として務めた著者の経験から、その難しさを語っています。
  • ・その実現の背景には、オーナーあるいはそれに該当する絶対的会長が「断固として」招聘していることとしながら、オーナーや資本家との関係の重要さを解いています。

5章の「卓越した戦略経営者に学ぶ」では、

  • ・富士フィルムとパナソニック及びポーラの経営者に加え、創業経営者である日本M&Aセンターや太陽工業やビッグホリデー及びハードオフが取り上げられています。
  • ・各社とも、すがらしい業績をあげていますが、先見力を実際に自社の事業展開へ戦略として書き下ろし、それらを信念を持って実現していく能力の重要性を指摘しています。
  • ・特に創業者の背負っているもの、そして覚悟の違いについて、経営者としての経験豊富な著者ならではの視点から言及しています。

6章の「吉か凶か、繰り出した戦略大技はどう着地する?」では、

  • ・岩谷産業やトヨタ、米ゼネラル・エレトリック(GE)、スシロー、アサヒビール、コメダ珈琲店、オリックスが取り上げられています。
  • ・燃料電池車で脚光を浴びる岩谷産業に対し、自動車エネルギーで先行する石油元売り大手は水素ガスという「破壊的技術」に対抗できないでいる。
  • ・また、燃料電池車(FCV)関連の特許を無償提供したトヨタも、規格の主導権争い、アライアンスやインフラ整備など、トヨタの戦略上の課題を指摘しています。
  • ・「集中と選択」を断行したGE、大躍進牽引の社長退任直後のスシロー、なだ万を買収したアサヒビール、会計ソフトの開発・販売の弥生を買収したオリックス、各企業が今回選択した戦略の賛否や今後の対策について解説しています。

7章の「変わるビジネス環境、生き残り勝ち上がれ」では、

  • ・個別の企業ではなく、国内外の動向についての論考となっています。
  • ・2月24日に東京証券取引所が企業統治ルールの原案を公表し、複数の社外取締役の選任を求めていますが、その実効性を高める取り組みを既に実践されている著者の指摘は納得感があります。
  • ・中国法人の撤退に困窮するシチズンを例に、アジアへ生産拠点進出を検討している企業への提言、さらに中国が統括に動きだした香港が国際金融センターとしての位置づけが低下してきた中での対応策を提言しています。

まとめ(私見)

著者は、22年の間に外資4社と日本企業2社の6社の社長を歴任し「企業再生請負人」と評された方で、現在は経営者に戦略策定の指導や企業内の幹部研修を行っている方です。

本書で取り上げられているビジネスシーンを騒がせた出来事に対し、著者の鋭い分析と提言を読み取ることで、失敗や成功の要因を探ることができ、戦略的な視点を磨くことができる一冊です。

取り上げられた出来事は今年話題になったものですので、多くは現在進行形で結論は出ていないものもありますが、著者の戦略への提言は新たな気づきを得ることができましたし、自身の考えとを対比しながら今後の展開を見ていく楽しみもできました。

本書に関係する情報

連載 山田修「間違いだらけのビジネス戦略」
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